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呼吸器疾患とCT検査

呼吸器内科で扱う病気は多岐にわたり、その診断には高精度な画像診断が欠かせません。当院では、院内にCT(コンピュータ断層撮影装置)検査装置を導入し、必要な場合にはすぐに撮影・診断できる体制を整えています。

CT検査とは

CT(Computed Tomography)検査は、X線を用いて体の断面画像を撮影する検査です。通常の胸部レントゲン写真とは異なり、臓器や血管、病変の形状や位置を立体的に確認できるため、病気の早期発見・診断・治療方針の決定に非常に有用です。

CT検査の特徴

  • 細かい病変を見逃さない:数mmの小さな肺結節、炎症、肺胞の異常なども描出可能
  • スピーディーな検査:撮影は数秒~数十秒~で終了
  • 立体的な画像:病変の正確な位置や広がりを把握しやすい
  • 被ばく量の低減:当院では低線量技術に対応した人工知能(AI)搭載のCT機器を導入

院内CTの有用性:呼吸器疾患の鑑別に直結

呼吸器疾患は、症状が類似している疾患が多く、鑑別診断が難しいケースもあります。咳、痰、息切れ、発熱、胸痛などの症状は、次のような疾患で共通して見られます。

  • 肺炎(細菌性・ウイルス性・非定型肺炎など)
  • マイコプラズマ肺炎・百日咳・RSウイルスなどの感染症
  • 間質性肺炎(膠原病関連、特発性、薬剤性など)
  • 非結核性抗酸菌症・肺結核
  • COPD(肺気腫)や気管支喘息
  • 肺がん・胸膜疾患

これらを正確に見分けるには、問診や聴診だけでなく、胸部CTによる肺野の評価が不可欠です。レントゲンでは明瞭に映らない病変や、病態の広がりを明確に把握できます。

CT検査でわかる呼吸器の代表的疾患と特徴

疾患名 CT画像での所見
肺炎 肺野にすりガラス影や浸潤影が見られる
間質性肺炎 網状影や蜂巣状変化、両側下肺野優位なすりガラス影
肺がん 結節や腫瘤、胸膜直下の陰影など
非結核性抗酸菌症 小結節・気管支拡張・空洞病変など
COPD(肺気腫) 肺の過膨張や肺胞構造の破壊による淡い陰影
気胸 肺の虚脱や胸腔内の遊離空気像

検査の流れ

  1. 医師の診察で症状を評価し、CTが必要か判断
  2. 当日撮影
  3. 検査時間は5~10分程度(前処置不要)
  4. 翌診療日までに放射線診断専門医が画像を読影し、今後の診断・治療方針を決めていきます。

CTとレントゲンの違い

項目 レントゲン CT検査
画像の解像度 2次元(平面的) 3次元(断層および立体像)
病変の見落とし 小さな病変は見つけにくい 小さな陰影・構造の乱れも描出可
診断精度 中等度 高精度
撮影時間 数秒 10分以内

呼吸器症状の原因を正確に見極め、適切な治療につなげるには、CT検査による可視化が極めて重要です。当院では、問診・聴診・血液検査に加え、必要に応じてCTを迅速に活用し、専門医による総合的な呼吸器診療を行っています。長引く咳や呼吸器の不調がある方は、ぜひご相談ください。

CT検査での鑑別が難しい場合の対応

CT検査は呼吸器疾患の診断において非常に高い精度を誇りますが、一部の疾患では画像のみで確定診断が難しいケースがあります。その場合は、下記のような追加対応を行い、総合的な診断を進めていきます。

1. 多項目迅速PCR検査の併用

感染症が疑われるケースでは、ウイルス・非定型菌・百日咳菌・マイコプラズマなどを同時に調べることができる多項目PCR検査を実施します。CT画像で肺炎所見があっても、原因病原体が異なることで治療方針が変わるため、迅速な病原体同定が非常に重要です。

2. 血液検査・炎症マーカーの測定

CRPや白血球数、好酸球比率、KL-6、SP-Dなどの検査値を確認し、間質性肺炎・感染症・アレルギー性肺疾患の鑑別を行います。CTと血液所見の組み合わせで、より明確な診断が可能となります。

3. 呼吸機能検査

慢性閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎などの疑いがある場合は、スパイロメトリー検査を行い、肺活量や換気能力の低下がないか確認します。CT画像で明確でない初期の病変も、機能検査と合わせることで補完されます。

4. 必要に応じて中核病院等での精査紹介

CT所見が非典型的であったり、がんや難病の疑いがあるケースでは必要に応じて、肺生検や気管支鏡検査が可能な高次医療機関へ紹介し、精密検査へつなげます。

5. 経過観察とフォローアップCT

急性期や軽度の異常所見で即断できない場合には、2週間~1か月の経過観察後に再度CT検査を行うこともあります。病変の変化や増悪の有無を確認することで、慢性疾患・悪性腫瘍などの可能性を評価します。

CT検査は呼吸器疾患の診断に大きな力を発揮しますが、単独では診断が困難なケースも存在します。当院では、CT画像・迅速検査・血液データ・機能検査・専門医の総合判断を組み合わせて、できる限り正確な診断と迅速な治療開始を目指しています。原因不明の咳や長引く呼吸器症状がある方は、専門の医療機関へ受診ください。

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