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大野クリニック 目からウロコの漢方⑩〜花粉症と漢方治療~

[2025.02.14]

第10回 花粉症(アレルギー性鼻炎)と漢方薬 

日本では人口の2割ほどが花症に悩まされていると言われています。とくに今シーズンはスギ花粉の飛散量が昨年の2倍以上と予想されています。症状が出る前からの対策をしっかり心掛けたいですね。

 

①花粉症に対する西洋医学的治療方法

西洋医学では花粉症をアレルギ―疾患と捉えます。従って、治療方法は抗アレルギー薬が主体になります。抗アレルギー薬として数多くの薬があります。

ⅰ 内服薬
第1世代抗ヒスタミン薬.第2世代抗ヒスタミン薬.抗ロイコトリエン薬.経口ステロイド薬 特に第一世代の抗ヒスタミン薬は副作用として眠気に悩まされ、車の運転する際、特に注意が必要なものもあります。またステロイド薬は効果が強いのですが、長期に連用で糖尿病、骨粗鬆症、胃潰瘍などの副作用に注意が必要です。

ⅱ 点鼻薬
鼻噴霧ステロイド薬、第2世代抗ヒスタミン薬、ケミカルメディエーター遊離抑制薬。それぞれ症状や継続期間等を考慮して使い分けが必要です。

ⅲ 点眼薬・眼周囲軟膏
第2世代抗ヒスタミン薬、ケミカルメディエーター遊離抑制薬、ステロイド点眼液。症状の強さや、痒みや充血、生活状況に応じて使い分けが必要です。

ⅳ 皮下注射バイオ製剤
オマリズマブ(商品名:ゾレア)※2~4週毎に皮下注射

ⅴ 舌下免疫療法
アレルゲン免疫療法の一種です。アレルギーの原因であるアレルゲン(例えばスギ花粉)を少しずつ舌の下に薬を置き、免疫反応を根本から治そうとする治療方法です。数年単位の継続治療が必要となります。治療効果は8~9割あるとされています。6~8年程度効果が持続します。副作用として口腔内の痒み、口内炎などが挙げられます。稀にアナフィラキシーショックの発症がありますので、注意が必要です。発疹、呼吸困難、嘔吐、腹痛、下痢、血圧低下、意識混濁などが出現したら医療機関への緊急受診が必要です。

 

 

主な第1世代 抗ヒスタミン薬

一般名 商品名 特徴
ジフェンヒドラミン レスタミンコーワ 抗コリン・中枢抑制強い
クレマスチンフマル酸 タベジール 持続性 眠気が少ない
クロルフェニラミンマレイン酸 ポララミン 抗ヒスタミン作用
シプロヘプタジン塩酸塩 ペリアクチン 抗セロトニン作用あり
ヒドロキシジン アタラックス 神経症(不安・緊張・うつ)
ホモクロルシクリジン塩酸塩 ホモクロミン 抗セロトニン・ブラジキニン

 

主な第2世代 抗ヒスタミン薬

一般名 商品名 特徴
ケトチフェンフマル酸 ザジテン 車の運転✕
アゼラスチン塩酸塩 アゼプチン 車の運転✕
メキタジン ゼスラン 車の運転✕
フェキソフェナジン アレグラ 車の運転〇
エピナスチン アレジオン 車の運転注意
エバスチン エバステル 車の運転注意
セチリジン ジルテック 車の運転✕
レボセチリジン ザイザル 車の運転✕
ベポタスチンベシル酸 タリオン 車の運転注意
オロパタジン アレロック 車の運転✕
ロラタジン クラリチン 車の運転〇
デスロラタジン デザレックス 車の運転〇
ビラスチン ビラノア 車の運転〇
ルパタジン ルパフィン 車の運転✕

 

 

②花粉症に対する漢方医学的治療方法

漢方医学では水様性鼻水を水毒と言います。
従って花粉症に対する漢方薬は、基本的に水毒を改善する生薬である麻黄が含まれているものがほとんどです。

【花粉症に効果がある漢方薬】
ⅰ 小青竜湯(しょうせいりゅうとう):生薬構成は麻黄・桂枝・芍薬・甘草・五味子・乾姜・細辛・半夏花粉症に対する基本的漢方薬です。

ⅱ 苓甘姜味辛夏仁湯((りょうかんきょうみしんげにんとう):生薬構成は茯苓・半夏・杏仁・甘草・乾姜・細辛・五味子麻黄が含まれていないのが特徴です。小青竜湯など麻黄が含まれている漢方薬で動悸、不眠、胃の症状がる場合に適応します。

ⅲ 葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい):生薬構成は葛根・麻黄・桂枝・芍薬・大棗・甘草・生姜・川芎・辛夷(葛根湯に川芎・辛夷を加えたもの)。花粉症の症状が鼻閉の場合に役立ちます。

ⅳ 竜虎湯(りゅうことう):小青竜湯と五虎湯を合わせて作ります。麻黄の量が1日7gとなり、麻黄に敏感な方には使いづらい漢方薬ですが、小青竜湯で効果が物足りない時に役立ちます。

ⅴ 大青竜湯(だいせいりゅうとう):麻黄湯と越婢加朮湯を合わせて作ります。アレルギー性鼻炎には最強の漢方薬です。麻黄の量が1日11gとなり、麻黄に敏感な方は避けることをお勧めします。

【花粉症に対する漢方薬の特徴・注意点】
1.西洋薬の抗ヒスタミン薬は予防的投与が主体だが漢方薬は即効性がある
2.抗ヒスタミン薬は粘膜の乾燥および眠気があるが、漢方薬はその副作用がない
3.体質・体力に合わせて選択肢が広い
4. 西洋薬との併用に問題がない
  1)相乗作用が期待できる
  2)併用によって西洋薬の副作用が回避される
5.注意点
  麻黄という生薬が含まれている漢方薬が使われる。麻黄に敏感な方は動悸・不眠・胃部不快が現れることがあり、その場合には麻黄を含まない漢方薬が使われる。


大野クリニックには、漢方専門医が5名が診療しております。花粉症(アレルギー性鼻炎)の治療では、症状緩和の即効性などから、漢方の効果が多くの方に実感いただけるかと思います。毎年花粉症の症状でお困りの方は、ご相談ください。

 

 

大野 修嗣(おおの しゅうじ)

大野クリニック院長

  • 医学博士
  • 国際東洋医学会 理事
  • 埼玉医科大学第2内科非常勤講師
  • 日本東洋医学会 副会長
担当 内科・リウマチ科・アレルギー科・漢方
コメント リウマチ、膠原病、アレルギー疾患を専門的に治療しています
著書 漢方学舎白熱教室入門編・漢方学舎実践編
診療日 月・火午前・水午前・金・土 (2025年4月~土曜午前のみ)

※大野院長の午後の診察はすべて予約診療となります。
予約可能な診療の詳細はこちらをご確認ください。

 

 

松田 真弓(まつだ まゆみ)

埼玉医科大学病院 リウマチ膠原病科 助教

  • 日本内科学会認定医
  • 日本リウマチ学会専門医
  • 日本東洋医学会認定漢方専門医
担当 リウマチ・膠原病科・内科・漢方
診療日 月・火午前・水午前(2025年4月~水曜午後追加)・土 
コメント 内科・リウマチ膠原病科外来を担当しています
大野院長長女

 

河辺 哲哉(かわべ てつや)

こうのす共生病院 副院長
埼玉医大総合医療センター 画像診断核医学科 非常勤講師

  • 日本放射線学会放射線診断専門医
  • 日本東洋医学会認定漢方専門医
担当 内科・漢方・画像診断
診療日 内科・漢方外来とCT検査の画像診断を担当しています
コメント 月午前・水午後・(2025年4月~木曜午後追加)・金午前

※河辺医師の診察は予約も可能となっております。

 

山口 剛史(やまぐち たけふみ)

埼玉医科大学医学部  呼吸器内科准教授
丸木記念メディカルセンター

  • 日本内科学会認定医
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本アレルギー学会専門医
  • 日本呼吸器学会専門医
担当 呼吸器内科・アレルギー科・内科
コメント 呼吸器アレルギー・内科外来を担当しています。
CPAP(睡眠時無呼吸症候群治療)や
舌下免疫療法などもご相談ください。
診療日 木午前・金一日

 

鈴木 朋子(すずき ともこ)

埼玉医科大学 総合診療内科 教授
埼玉医科大学 東洋医学科 教授 診療部長

  • 医学博士(東北大学)
  • 日本内科学会認定医
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本呼吸器学会専門医・指導医
  • 日本東洋医学会認定漢方専門医・指導医
担当 漢方・呼吸器内科・内科
コメント 現代医学と漢方医学のそれぞれの特徴を生かした診療を行います。
煎じ薬も処方いたします。
診療日 木曜午後・土午前(第1・3・4・5週)(2025年4月~木曜午前午後)
※第2週は小林医師の診療となります

 

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