間質性肺炎
間質性肺炎について
間質性肺炎とは、肺の「間質」と呼ばれる肺胞周囲の組織に炎症や線維化(硬くなる変化)が起きる病気です。肺胞と毛細血管の間で酸素と二酸化炭素のガス交換が行われますが、この間質が障害されることで息切れや咳、呼吸困難が生じます。
間質性肺炎の主な種類
- 特発性間質性肺炎(IIPs):原因が不明のもので、最も多い「特発性肺線維症(IPF)」が代表。
- 膠原病関連間質性肺炎:関節リウマチや全身性強皮症など自己免疫疾患に合併。
- 薬剤性肺炎:抗がん剤や抗リウマチ薬などが原因。
- 過敏性肺炎:カビ・鳥の羽・農薬などの吸入によって起こるアレルギー性の肺炎。
- 放射線肺炎:がん治療における放射線照射後に発症する肺炎。
症状について
- 労作時の息切れ(階段や坂で苦しい)
- 乾いた咳(痰が少ない)
- 胸部の圧迫感や痛み
- 体重減少、微熱、倦怠感
- 進行すると安静時でも息苦しくなり、酸素吸入が必要になります。
間質性肺炎の診断
以下のような検査を組み合わせて、原因の特定と重症度の評価を行います。
- 胸部レントゲン検査:肺の線維化や網状影を評価。
- 高分解能CT(HRCT):詳細な肺構造が見えるため、特に重要。
- 血液検査:膠原病の有無、炎症や免疫異常の指標(KL-6、SP-Dなど)を調べます。
- 呼吸機能検査:肺活量やガス交換能を調べ、病状の進行を評価します。
- 気管支鏡検査:必要に応じて、肺組織の一部を採取して診断することがあります。
当院の特徴:胸部CTスキャンの活用
当院では最新のCTスキャナを導入しており、間質性肺炎の早期発見・重症度判定が可能です。初期にはレントゲンで異常が見られないこともあるため、画像診断専門医によるCT読影を通じて、より正確な診断を行っています。
治療方法について
間質性肺炎は原因やタイプにより治療法が異なります。
特発性肺線維症(IPF)の場合
- 抗線維化薬:ピルフェニドン(商品名:ピレスパ)、ニンテダニブ(商品名:オフェブ)
- 酸素療法(在宅酸素)
- 定期的な呼吸機能検査とCTフォロー
膠原病関連肺炎や薬剤性肺炎などの炎症性タイプ
- ステロイド治療(プレドニゾロンなど)
- 免疫抑制薬:タクロリムス、シクロホスファミド、アザチオプリンなど
- 合併症予防(感染症、骨粗しょう症など)
注意すべき合併症
- 感染症(肺炎、ニューモシスチス肺炎など)
- 肺高血圧症
- 気胸(肺の一部が破れて空気が漏れる)
- 悪性腫瘍の合併(肺がんなど)
日常生活での注意点
- 風邪やインフルエンザの予防(マスク着用、ワクチン接種)
- 禁煙(喫煙は病状を悪化させます)
- 定期的な通院と画像検査で進行をチェック
当院では
呼吸器専門医による診察、高解像度CTによる評価、専門的な免疫検査に加え、膠原病内科との連携により、間質性肺炎の原因特定から治療・フォローまで一貫して対応いたします。肺の症状に不安がある方はお気軽にご相談ください。