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長引く咳(遷延性/慢性咳嗽)・喘息(ぜんそく)

長引く咳・止まらない咳(遷延性/慢性咳嗽)、喘息(ぜんそく)、慢性気管支炎、肺気腫などの閉塞性肺疾患(COPD)の治療をはじめ、レントゲン装置、CT検査装置を用いた、肺炎や肺がん疑いなどの患者さんの適切な連携医療施設への紹介を行っています。「咳が長く続いている」「息切れの症状が治まらない」といった方は、ご相談ください。

咳/咳嗽(せき/がいそう)

普段の生活において鼻や口を通って、ほこりや煙、ウイルスなどの異物が日々入ってきます。それらのものを気道から取り除こうとする防御反応が咳(咳嗽=がいそう)です。異物が入るとまず気道(咽頭、気管支など)にある咳受容体が反応し、それが脳にある咳中枢に伝達されます。その脳から呼吸筋(横隔膜など)への指令が送られることにより、咳(せき)が起こります。

また、ウイルスや細菌、ほこりなどの異物を追い出そうとする気道粘膜の繊毛の働きにより咳(せき)が起こることもあります。
咳は、持続する期間によって、急性咳嗽、遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)、慢性咳嗽の3つに分類されます。また、痰(たん)をともなわない・粘液性の痰(たん)をわずかに伴う乾性咳嗽と咳と痰をともなう湿性咳嗽の2つに分けられることもあります。

急性咳嗽(がいそう)

咳症状がおおむね3週間以内持続しているものが急性咳嗽と呼ばれています。最も多いのが、ウイルスなどの感染による上気道炎などの風邪症候群です。また、風邪症候群と比較すると頻度の低いですが、外傷や肺梗塞などにより引き起こされることもあります。

遷延性咳嗽・慢性咳嗽(長引く咳)

長引く咳の中で、症状がおおむね4~7週間以上持続しているものを遷延性咳嗽と呼びます。更に、8週以上持続しているものが慢性咳嗽と呼ばれています。

国内では、約半数が喘息・咳喘息を占め、続いてアトピー咳嗽(アレルギー性の咳)が3割弱、副鼻腔気管支症候群、感染後に残る遷延性咳嗽、胃食道逆流症(逆流性食道炎等)などにより引き起こされるものを合わせて、全体の約9割と多くを占めるとされています。
しかしながら、近年増加傾向の肺結核や非結核性抗酸菌証(NTM)、感染症や菌が身体から排除された後でも咳がのこる百日咳、肺がんや閉塞性肺疾患(COPD)など、忘れてはならない疾患が要因のこともあります。
また、当院のように関節リウマチの患者さんが多数通院されるクリニックでは間質性肺炎の慢性の乾性咳嗽なども少なくありません。関節リウマチの患者さんでは20%弱の方に間質性肺炎の合併があるとされています(無症状のことも多数)。

持続期間による3分類

   持続期間  よく疑われる疾患
急性咳嗽 ~3週間 感染性の疾患(風邪症候群)、肺梗塞、外傷など
遷延性咳嗽
3~7週間 咳喘息、アトピー喘息、副鼻腔気管支症候群、胃食道逆流症、慢性気管支炎など
慢性咳嗽
8週間~

乾性と湿性による2分類

  急性 慢性
乾性咳嗽 かぜ症候群、自然気胸、肺塞栓血栓症、非定型肺炎、ウイルス(マイコプラズマ・クラミジア・レジオニア)、肺炎(過敏性/薬剤性)、 胸膜炎、心内膜炎、気道異物、百日咳など 感染後咳嗽、後鼻漏症候群 喘息(咳喘息)、アトピー咳嗽、慢性気管支炎(たばこ気管支炎)、マイコプラズマ、クラミジア感染症 間質性肺炎、肺癌、放射線肺炎、気管支結核、胃食道逆流症、心不全、心因性咳嗽、百日咳など
湿性咳嗽
かぜ症候群、急性気管支炎、細菌性肺炎、嚥下性肺炎、肺化膿症、肺損傷、急性呼吸促迫症候群 ARDS、肺水腫、心不全など 感染後咳嗽、後鼻漏症候群、喘息、慢性気管支炎(たばこ気管支炎)、閉塞性肺疾患、気管支拡張症、非定型抗酸菌症、びまん性汎細気管支炎、肺癌、肺胞上皮癌、肺結核、胃食道逆流症、心不全、肺真菌症、嚥下性肺炎など

※日本気管食道科学会 資料より

咳の原因となる疾患の診断について

前述のとおり、多くの疾患が遷延性/慢性咳嗽(がいそう)の原因となり、それぞれの治療法が異なるため、しっかりと診断をつけることが重要です。咳止めによって症状を抑えるだけでは原因の疾患の治療とならないこともあります。
患者さんの症状や持続期間などの情報から担当医師の判断で胸部レントゲン撮影やCT撮影、血液検査、喀痰検査、呼吸機能検査、上部内視鏡(胃カメラ)などの検査を組み合わせながら診断を行っていきます。

気管支喘息

前述したように細菌・ウイルス感染などをきっかけとして、気管支の炎症が慢性化すると、その炎症や喀痰の影響で気道が狭くなります。気管支喘息は、このように気道の閉塞により空気の流れが妨げられる状態です。本来はその原因となるものを特定して予防する(避けること)ことが望ましいですが、発症には複数のものが関与することも多く、実際はそれらを避けて生活をすることが難しいため服薬による治療が多くを占めます。
自然治癒、服薬治療によりいったん改善したと思ったら、繰り返し症状があらわれることもしばしばあります。適切な治療が行なわれず炎症と改善を繰り返すと気道の壁が厚くなり、気道が元に戻らなくなったり過敏性が増したりすることがあるため、自己判断での治療の中断などには注意が必要です。

症状の多くは喘鳴(「ゼーゼー」や「ヒューヒュー」を認め、咳を伴って増悪すると呼吸が苦しくて横になれない起坐(きざ)という呼吸状態になります。患者さんによって病態は様々で、慢性的に軽い咳と痰だけといった方から、横になれないほど苦しかったり会話に困るほど激しい咳がでる場合もあります。

以前は気管支拡張剤を使用するのが中心でしたが、前述のように慢性の気管支炎症が大きな要因ということが分かってきたため、副作用の少ない吸入ステロイド薬が中心の予防的治療に変化してきています。副作用が少ない薬と量できちんとした治療を行えば、大多数の患者さんは健康な方の日常と遜色のない生活を送ることができます。
喘息発作が起こってしまった場合は、炎症を抑える作用のあるものや気管支拡張作用のある点滴を行う場合もあります。また、ネブライザーによる吸入療法などを行うこともあります。

山口 剛史(やまぐち たけふみ)

埼玉医科大学医学部  呼吸器内科准教授
丸木記念メディカルセンター

  • 日本内科学会認定医
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本アレルギー学会専門医
  • 日本呼吸器学会専門医
担当 呼吸器アレルギー科・内科
コメント 呼吸器アレルギー・内科外来を担当しています。
CPAP(睡眠時無呼吸症候群治療)や
舌下免疫療法などもご相談ください。
診療日 木曜(午前)・金曜

鈴木 朋子(すずき ともこ)

福島県立医科大学会津医療センター
感染症・呼吸器内科学講座 准教授(漢方内科兼務)

  • 医学博士(東北大学)
  • 日本内科学会認定医
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本呼吸器学会専門医・指導医
  • 日本東洋医学会専門医
担当 漢方・呼吸器・内科
コメント 現代医学と漢方医学のそれぞれの特徴を生かした診療を行います。
煎じ薬も処方いたします。
診療日 土曜午前(第1・3・4・5週)
※第2週は小林医師の診療となります
2020年10月~

小林 威仁(こばやし たけひと)

埼玉医科大学病院 総合診療科准教授

  • 日本内科学会認定医
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本呼吸器学会専門医
  • 日本アレルギー学会専門医
  • 日本病院総合診医学会認定医
  • 日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医
  • 産業認定医
担当 呼吸器・内科
診療日 土曜午前(第2週)
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