大野クリニック 目からウロコの漢方⑧〜頭痛と漢方治療~
第8回 頭痛と漢方薬
《冷えが原因の頭痛、低気圧が近づくときに発症する頭痛、胃弱の人の頭痛》
今回は呉茱萸湯、五苓散、川芎茶調散のご紹介です。
症例は49歳女性。数年前からの頭痛に苦労しています。市販のイブプロフェンを毎週10錠も服用してしまっています。最近は胃の調子が悪くなってイブプロフェンを止められないかとの相談です。
鎮痛剤によってむくみっぽくもなっています。
西洋医学では薬物乱用性頭痛という概念があります。鎮痛剤に頼って、だんだん服用回数が増えてきてしまう状態です。この方もそんな状態になっているようです。
問診すると、頭痛の他に首こり、肩こり、手足の冷えもあります。特に足が冷える状況で頭痛が出現しています。
こんな時の治療方法としては呉茱萸湯(ごしゅゆとう)という漢方薬が用意されています。
呉茱萸湯は元々冷えと胃の不調に使われていた漢方薬です。従って胃腸の薬にもなることが西洋薬の鎮痛剤とは全く別の働きと考えられます。冷えと首こりで発症する頭痛に対しては最もよく使われている漢方薬と言えます。
頭痛に対して使用頻度が高いその他の漢方薬としては五苓散、川芎茶調散が有名です。五苓散は低気圧が近づくと頭痛を発症する方には最適です。やはり嘔気・嘔吐などにも効果が知られていて、二日酔いに伴う頭痛・嘔気の対策には最適の漢方薬です。
川芎茶調散は悪寒と頭痛が主症状の感冒には即効性が期待できます。服用して15分程度で悪寒と頭痛が軽快することも稀ではありません。