粉瘤
粉瘤(ふんりゅう)とは
粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造(嚢腫)ができ、その中に角質や皮脂がたまる良性の腫瘍です。
一般的に「できもの」「しこり」などと表現されることもありますが、医学的には表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)とも呼ばれます。
顔、首、背中、耳の後ろ、陰部など全身のさまざまな部位に発生します。
原因と発症のメカニズム
本来は皮膚の表面に自然と剥がれ落ちるはずの角質や皮脂が、皮膚の中に袋状にたまってしまうことが原因です。
毛穴や皮膚の損傷がきっかけになることもあり、ニキビや外傷の後にできることもあります。
症状
はじめは痛みや赤みを伴わないしこりとして現れます。
放置していても命に関わることはほとんどありませんが、次第に大きくなることがあり、圧迫感や違和感を感じることがあります。
細菌感染を起こすと赤く腫れて痛みを伴い、化膿して膿が出ることもあります。
診断
視診・触診で診断可能な場合が多いですが、炎症が強い場合や内部構造を詳しく確認する必要がある場合には、エコー(超音波検査)を行うこともあります。
治療
切開・排膿
感染し、膿がたまっている場合には、まず腫れを抑えるために切開して膿を出します。この処置は局所麻酔下で行われ、比較的短時間で終わります。
粉瘤摘出術(嚢腫摘出術)
根本的な治療は、粉瘤の袋ごと取り除く手術です。
感染や炎症がない状態で行うのが最もきれいに治りやすく、再発のリスクも低くなります。
手術は入院せず外来で行うことができ、局所麻酔を使用し、10〜30分ほどで終了します。
炎症が強い場合には、まず排膿処置や内服治療で炎症を落ち着かせた上で、後日あらためて摘出手術を行うこともあります。
抗生物質の内服
感染が疑われる場合には、抗生物質を内服して炎症を抑えることもあります。
注意点
粉瘤は自然に治ることはありません。
自分で潰したり、針で刺して内容物を出すと、細菌感染を引き起こし、状態が悪化することがありますので絶対にやめましょう。
「腫れてきた」「赤くなって痛い」「何度も同じ場所にできる」といった場合には、早めに皮膚科を受診してください。
当院での対応
当院の皮膚科では、局所麻酔による日帰り手術が可能です。
手術後は、抜糸~数回の通院で経過を確認していきます。