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骨粗鬆症

骨粗鬆症は、骨の密度(骨量)が減少し、骨の質も劣化することで骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。
特に高齢の女性に多く、閉経後のホルモンバランスの変化が原因とされますが、栄養不足、運動不足、喫煙、飲酒、薬剤(特にステロイド)なども関与します。

骨粗鬆症の主な原因

1. 加齢・閉経

年齢とともに骨の再生能力が低下し、骨密度が減少します。閉経後の女性では、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少することで、骨吸収が進みやすくなります。

2. 栄養不足

カルシウム、ビタミンD、たんぱく質の摂取不足は骨の形成に悪影響を及ぼします。偏った食生活は骨を弱くする原因となります。

3. 運動不足

骨は適度な運動により刺激を受けて強くなります。運動量が少ないと骨への負荷が減り、骨密度が低下します。

4. ステロイドの長期使用

関節リウマチや膠原病などの治療に使用される副腎皮質ステロイド薬は、骨形成を抑制し骨吸収を促進するため、骨粗鬆症の大きなリスク因子です。

検査と診断

骨密度の評価には、超音波や放射線で検査を行うことができます。現在のガイドラインではDEXA法(二重エネルギーX線吸収測定法)を用いて腰椎や大腿骨を測定し診断することが推奨されています。骨密度が若年成人平均値の70%以下の場合、または骨密度が70%~80%少)で脆弱性骨折の既往がある場合、骨粗鬆症と診断されます

治療

1. 食事療法

カルシウム(牛乳、小魚、豆製品など)やビタミンD(鮭、きのこ類など)を多く含む食品を意識的に摂取します。

2. 運動療法

骨への刺激となる運動(ウォーキング、軽い筋力トレーニングなど)が推奨されます。無理のない範囲で継続することが重要です。

3. 薬物療法

骨の吸収を抑制するビスホスホネート製剤(週1回や月1回の内服または注射)、骨形成を促進する製剤、デノスマブ、活性型ビタミンD製剤などが用いられます。患者さんの年齢、骨折歴、生活習慣、他疾患との兼ね合いをみながら治療方針を決定します。

予防のポイント

  • 毎日のバランスの取れた食事(特にカルシウム・ビタミンD)
  • 日光を浴びる習慣(ビタミンDの生成促進)
  • 適度な運動(散歩・筋トレなど)
  • 禁煙・節酒
  • 定期的な骨密度検査

骨粗鬆症は進行するまで自覚症状がないことが多く、知らない間に骨折していたというケースも少なくありません。早期の診断と予防的な取り組みによって、骨折を防ぎ、日常生活の自立を保つことが可能です。当院では、骨粗鬆症のスクリーニング検査から治療まで、幅広く対応しています。

関節リウマチと骨粗鬆症

関節リウマチ(RA)では慢性的な関節炎が持続することで、骨を作る細胞(骨芽細胞)の働きが弱まり、骨を壊す細胞(破骨細胞)が活性化され、骨密度が急速に低下します。また、RAの治療に使用される副腎皮質ステロイドは、骨の形成を抑え、吸収を促す作用があり、骨粗鬆症を進行させます。

さらに関節痛により運動量が減少すると、骨への機械的刺激も減少し、骨はもろくなります。RA患者さんの骨粗鬆症による骨折リスクは、同年代の健常者と比べて高く、特に背骨や大腿骨近位部の骨折が問題となります。

当院では、RA患者さんに対して骨密度の定期的評価を実施し、骨粗鬆症の予防と治療も並行して行うことで、骨折による生活の質の低下を防ぐことに努めています。

その他膠原病と骨粗鬆症

全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患では、長期にわたるステロイド治療が必要になることが多く、若年でも骨粗鬆症のリスクが高くなることが知られています。

免疫異常による炎症が慢性的に続くこと、活動性が高いと運動制限が生じること、また腎障害やビタミンD代謝異常があるといった要素が骨の健康に悪影響を及ぼします。特に、副腎皮質ステロイドの長期使用が、骨形成を著しく抑制することが問題となります。

SLE等の患者さんに対しても骨密度の定期検査、必要に応じて骨粗鬆症治療薬の導入を行い若年期から骨折予防することもあります。

骨密度測定機(腰椎/大腿骨DEXA)

骨密度測定腰椎/大腿骨DEXA(デュアルエネルギーX線吸収測定法)は、骨の中にどれだけのカルシウムやミネラルが含まれているかを調べ、骨粗しょう症の診断や治療の経過観察、骨折リスクの予測などに用いられる検査です。日本骨粗鬆症学会のガイドラインでも最も推奨される検査となっています。2種類の異なるエネルギーを持つX線を照射し、骨や軟部組織がどの程度それらを吸収するかを測定することで、骨の密度を測定します。この技術により、少ない線量で安全かつ迅速に検査を行うことが可能です。測定部位は、腰椎と大腿骨を主に測定します。これらの部位は骨密度の変化が比較的早く現れるとされています。

骨密度は、30歳頃をピークとして、徐々に低下していくことが多数です。特に女性は年齢とともに女性ホルモンが減少するため、どうしても男性に比べて年を重ねる毎に骨がもろくなり、骨密度の低下する割合は大きくなり、年齢とともに骨粗しょう症の方は増加していきます。

また、関節リウマチやその他膠原病の方の多くも骨粗しょう症の方が多くおられます。理由としては、疾患の活動性が高い場合や、免疫異常を抑えるために必要不可欠なステロイド治療を行っている場合が多くあり、ステロイドの副作用として骨粗しょう症が進行することがあります。そのため、ステロイドを服用されている方へ対する、骨粗しょう症の診断や治療の経過観察はとても重要とされています。腰椎/大腿骨DEXAは、前腕や手指のX線検査や足底の超音波検査と比較して精度が高く、再現性にも優れているため、リウマチ内科での導入も少しずつ進んできています。

★検査前に特別な準備は不要で、通常の服装で5分程度で受けられますが、検査の際は金属類(ベルト、ジッパーなど)は取り外す必要があります。

 

 

 

 

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