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全身性強皮症

 全身性強皮症は、自己免疫の異常により皮膚や内臓が硬くなる「線維化」が進行する膠原病の一種です。皮膚だけでなく肺、消化管、腎臓、心臓などの臓器にも障害をきたす可能性があり、早期診断と継続的な管理が重要です。

  • 主な症状
     代表的な症状として、以下のようなものがみられます。
     ・手指や顔面などの皮膚が硬くなる(皮膚硬化)
     ・冷えや寒さで指先が白や紫に変色する(レイノー現象)
     ・指先の潰瘍(皮膚が破れて治りにくい)
     ・手の関節痛や腫れ、こわばり
     ・食道の動きが悪くなることによる飲み込みにくさ、胸やけ(逆流性食道炎)
     ・肺が硬くなることによる息切れ(間質性肺炎)や咳
     ・まれに肺動脈性肺高血圧症や腎障害を引き起こすこともあります

  • 診断と検査
     皮膚の硬さやレイノー現象の有無、内臓の状態などを総合的に評価します。
     ・血液検査:抗核抗体、抗Scl-70抗体、抗セントロメア抗体などの自己抗体を測定します
     ・胸部CT:肺の線維化(間質性肺炎)の有無を確認します
     ・肺機能検査:息を吐く力や肺の容量を測定し、肺の状態を評価します
     ・心エコー検査:肺高血圧や心臓の合併症の早期発見に役立ちます
     ・毛細血管ループ検査:レイノー現象の評価のため、指先の毛細血管を観察することがあります

  • 治療
     全身性強皮症は、現在の医学では根本的に完治させる治療法は確立されていません。しかし、症状や臓器の合併症に応じた薬物治療を行うことで、進行の抑制や生活の質の維持が可能です。
     たとえば、皮膚の硬化や関節の痛みに対しては、ステロイドや免疫抑制薬(ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサートなど)を用いた治療を行うことが一般出来です。肺に線維化が生じている場合は、抗線維化薬(ピルフェニドンやニンテダニブ)を使用し、肺機能の悪化を抑えることもあります。
     また、寒さやストレスで指先が白くなる「レイノー現象」には、血管を広げる薬(カルシウム拮抗薬やPDE5阻害薬)を使用することで末梢の血流の改善につながることがあります。消化管の症状としてよく見られる逆流性食道炎には、胃酸を抑える薬(PPI)を用いて症状の軽減を図ることが一般的です。
     さらに、肺動脈性肺高血圧症や急速に進行する腎障害などの重篤な合併症が疑われる場合には、それぞれの病態に応じた専門的治療が必要となります。当院では、これら多岐にわたる病態に対して、地域の中核病院と連携しながら対応しています。

  • 当院での対応
     当院では、膠原病診療経験の豊富な専門医が在籍し、全身性強皮症の診断や定期的な評価・症状に応じた治療を行っています。
     特に肺病変や肺高血圧、腎障害などの合併症については、経過をみながら必要であれば、CT検査や臨床化学検査装置などの検査などを駆使しながら、サポートいたします。
     また、皮膚の症状などは、院内の皮膚科と連携しながら治療にあたることもあります。


皆さまへ

 全身性強皮症は進行性の疾患である一方、適切な管理と治療によって日常生活を維持できる方も多くいらっしゃいます。
 当院では、膠原病という難病に不安を感じている患者さんやご家族の声に耳を傾け、一人ひとりに寄り添った丁寧な診療を心がけています。
 少しでも不調を感じる方は、早めにご相談ください。

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