帯状疱疹
帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、水ぼうそうと同じ「水痘・帯状疱疹ウイルス」によって引き起こされる皮膚の病気です。
このウイルスは、水ぼうそうが治った後も体内の神経節に潜伏しており、加齢やストレス、免疫力の低下などが引き金となり再活性化して発症します。
身体の片側にピリピリとした痛みとともに、小さな赤い斑点や水ぶくれが帯状に現れるのが特徴です。
50歳以上の方に多く見られますが、若い方でも発症することがあります。
治療
抗ウイルス薬(内服・点滴)
帯状疱疹の原因であるウイルスの増殖を抑えるため、発症初期に抗ウイルス薬を使用します。
内服薬は軽症〜中等症に使用され、重症の場合は点滴による治療を行うこともあります。
発疹や痛みが出てから48〜72時間以内に治療を開始することで、後遺症(帯状疱疹後神経痛)の予防にもつながります。
鎮痛薬(痛み止め)
帯状疱疹は、皮疹だけでなく強い神経痛を伴うことがあります。
アセトアミノフェンやNSAIDsなどの一般的な鎮痛薬、さらには神経性の痛みに対応する薬(プレガバリンなど)を使用することもあります。
外用薬(塗り薬)
水ぶくれや炎症を抑えるため、抗ウイルス外用薬や消炎鎮痛剤の塗布が行われることもあります。
帯状疱疹後神経痛(PHN)への対応
皮疹が治っても、神経にダメージが残り、長期間痛みが続くことがあります。これを「帯状疱疹後神経痛(PHN)」といいます。
高齢者や重症例では発症リスクが高いため、早期治療と適切な鎮痛対策が重要です。
PHNの治療には、神経障害性疼痛に適した薬(リリカ、ノイロトロピン、トリプタノールなど)や、神経ブロック注射などが検討されます。
ワクチンによる予防
帯状疱疹は予防も可能です。50歳以上の方を対象に、帯状疱疹予防ワクチン(シングリックスⓇ)が接種可能です。
市町村によっては、2022年頃から助成がはじまっていて、2025年4月より65歳・70歳・75歳、、、の定期接種がはじまりました。
シングリックスは2回接種が必要で一回20000円以上と高額なワクチンですがですが、予防率は95%程度という治験結果もあり、重症化・後遺症の予防効果が確認されています。
過去に帯状疱疹を経験された方でも、再発予防として接種が推奨されています。
日常生活での注意点
帯状疱疹は水ぶくれが出ている時期は感染力があります。特に水ぼうそうにかかったことがない子どもや妊婦への接触には注意が必要です。
発疹部分は清潔に保ち、衣類による刺激を避けることも大切です。
十分な休養をとり、ストレスをためない生活も回復を早めます。