関節リウマチ/膠原病と骨粗鬆症
関節リウマチや膠原病の患者さんは、病気そのものや治療に使われるステロイド薬の影響により、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を発症しやすくなります。骨粗鬆症は、骨の強度が低下して骨折のリスクが高まる病気であり、特に高齢者や慢性疾患を持つ方では注意が必要です。
骨粗鬆症の原因とリスク
- ステロイド薬の長期使用(特にプレドニゾロン5mg/日以上)
- 慢性的な炎症(関節リウマチ、SLEなど)
- 女性ホルモンの低下(閉経後女性)
- 高齢、低体重、栄養不良、喫煙、運動不足
当院の骨密度測定
当院では、ガイドラインでの第一検査方法とされる、DEXA(デキサ)法による骨密度測定が可能です。DEXAは、腰椎や大腿骨といった骨折リスクの高い部位の骨密度を精密に測定できる検査です。一般的な超音波法よりも精度が高く、骨粗鬆症の診断や治療効果の判定にも用いられます。
骨粗鬆症の診断基準
- 若年成人平均(YAM)の70%未満 → 骨粗鬆症
- YAMの70~80%未満 → 骨量減少
- 椎体圧迫骨折、大腿骨近位部骨折があれば、骨密度に関係なく骨粗鬆症と診断
骨粗鬆症の治療薬について
骨粗鬆症の治療薬は、骨の破壊を抑える薬(骨吸収抑制薬)と骨を作る薬(骨形成促進薬)に分かれます。
1. 骨吸収抑制薬
- ビスホスホネート製剤:アレンドロン酸(フォサマック)、リセドロン酸(アクトネル)、イバンドロン酸(ボンビバ)など。週1回や月1回の内服、月1回の注射など投与方法が選べます。
- デノスマブ(プラリア):6か月ごと皮下注射。骨吸収を強力に抑制し、高リスクの患者に有効です。
- SERM(選択的エストロゲン受容体調整薬):ラロキシフェン(エビスタ)など。閉経後女性に適応。
2. 骨形成促進薬
- テリパラチド(フォルテオ・テリボン):副甲状腺ホルモン製剤。骨形成を強く促す注射薬。週1回または毎日投与。
- ロモソズマブ(イベニティ):骨形成促進と骨吸収抑制の両作用を持つ新しい薬。月1回、2本の皮下注射。特に骨折リスクの高い患者に使用。
3. 活性型ビタミンD製剤
- エルデカルシトール(エディロール)やアルファカルシドール(アルファロール)など。カルシウム吸収促進と骨代謝調整のため、他薬剤と併用されることが多いです。
治療方針と通院管理
骨粗鬆症の治療では、定期的なDEXA検査による骨密度の経過観察、ビタミンD・カルシウムの補給、転倒予防も重要です。当院では、関節リウマチや膠原病に関連した骨粗鬆症の専門的管理を行っており、薬剤の使い分けや副作用のチェックも丁寧に行っています。
こんな方は、医療機関にご相談ください
- 関節リウマチや膠原病の治療中
- 長期間ステロイドを使用している
- 過去に骨折の経験がある
- 60歳以上で骨密度を測ったことがない
骨粗鬆症は「気づかないうちに骨がもろくなる」病気です。特にリウマチ・膠原病患者さんでは、早期からの介入が極めて重要です。骨折による寝たきりや生活の質(QOL)低下を防ぐためにも、予防と治療の両立が大切です。