メニュー

関節リウマチと間質性肺炎

関節リウマチ(RA)は、関節に炎症を起こす自己免疫疾患ですが、肺をはじめとした全身の臓器に炎症が波及することもある疾患です。なかでも「間質性肺炎(ILD)」は、関節リウマチに合併する頻度が高く、進行性の場合には命に関わることもあるため、早期の発見・対応が非常に重要です。

関節リウマチに伴う間質性肺炎(RA-ILD)とは

RA-ILD(Rheumatoid Arthritis-Associated Interstitial Lung Disease)は、関節リウマチ患者さんの約10~30%で発症するとされており、多くは関節症状の出現から数年以内に肺病変が出現します。肺の線維化(硬化)や肺胞の損傷が進行すると、慢性的な咳や息切れといった症状が出現します。

主な症状

  • 乾いた咳(痰の少ない咳)が長く続く
  • 階段昇降や歩行時の息切れ
  • 疲れやすさ・全身倦怠感

当院での検査体制

当院では、関節リウマチの診断・治療を専門とする医師に加えて、呼吸器専門医による診療体制を整えています。
以下のような検査機器を活用し、関節症状と肺病変を総合的に評価します。

1. 胸部CTスキャン(16列CT)

間質性肺炎の微細な陰影や線維化の程度を高精度で評価できます。

2. 呼吸機能検査

肺活量やガス交換能力(DLCO)を測定し、肺の機能低下を数値で把握します。

3. 血液検査

KL-6、SP-D、LDHなど肺障害に関係するバイオマーカーを測定します。

4. 定期的なモニタリング

無症状でも経過観察中に徐々に悪化する例があるため、定期的な画像検査・呼吸機能検査を推奨しています。

治療方針

RA-ILDの治療では、関節リウマチそのものの制御が重要であり、適切な抗リウマチ薬(DMARDs)や生物学的製剤、JAK阻害薬を使用しますが、一部の薬剤が肺病変を悪化させる可能性もあるため、慎重な薬剤選択が必要です。

注意が必要な薬剤

  • メトトレキサート(MTX):間質性肺炎との関連が報告されており、肺病変のある患者では使用に注意。
  • 一部の生物学的製剤:エタネルセプトなどで肺障害の報告あり。

治療薬の例

  • 副腎皮質ステロイド(プレドニゾロンなど)
  • 免疫抑制剤(タクロリムス、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチルなど)
  • 抗線維化薬(ニンテダニブ) ※進行性肺線維症の場合

リウマチと間質性肺炎の連携診療の重要性

RA-ILDは関節症状より先に肺病変が進行することもあり、リウマチ専門医と呼吸器専門医の密な連携が診療の質を大きく左右します。当院では、これらの診療科が連携して診療を行い、患者さん一人ひとりに適した治療方針を立てています。

このような症状がある方はご相談ください

  • 関節リウマチで治療中だが、咳が止まらない
  • 少しの運動で息切れがするようになった
  • 以前より疲れやすく、体重も減ってきた

このような症状は、関節リウマチによる肺合併症のサインかもしれません。早期の評価と適切な対応が将来の肺機能の維持につながります。専門の医療機関への受診をお勧めいたします。

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME