多汗症治療
多汗症(原発性局所多汗症)の治療|脇汗・手汗・足汗に対応
多汗症は、気温や運動量に見合わない「過剰な発汗」が続き、日常生活や仕事・学業に支障が出る状態です。当院の皮膚科では、原発性局所多汗症(原因疾患がはっきりしないタイプ)を中心に、 脇汗(腋窩)・手汗(手掌)・足汗(足底)・頭部/顔面の発汗などの診療をいたします。
※発汗が急に増えた/全身に汗が出る/動悸・体重減少・発熱などを伴う場合は、別の病気が隠れていることがあります。 その場合は必要に応じて、内科でのフォローなども行います。
多汗症でよくあるお悩み
- 脇汗で服が濡れる、黄ばみやにおいが気になる
- 手汗でスマホや書類が濡れる、握手や接客がつらい
- 足汗で靴が蒸れる、臭い、皮膚トラブル(白癬など)を繰り返す
- 緊張やストレスで汗が増え、悪循環になる
- 市販制汗剤で改善しない、長年悩んでいる
原発性局所多汗症とは
「原発性局所多汗症」は、特定の部位(脇・手のひら・足の裏・顔など)で汗が過剰に出る状態で、 思春期〜若年成人で始まることが多く、左右対称に起こりやすいとされています。 体温調節に必要な汗とは別に、生活の質(QOL)へ影響するため、治療の対象になります。
診断
原発性局所多汗症は、問診(いつから・どの部位・どの程度・生活への影響)を中心に評価します。 代表的な診断の考え方として、「原因のはっきりしない局所の過剰発汗が6か月以上」に加え、 いくつかの特徴(左右対称、週1回以上、発症年齢、家族歴、睡眠中は軽い等)を確認しならがすすめます。
※全身性の発汗(甲状腺疾患、感染症、薬剤、低血糖など)が疑われる場合は、必要に応じて内科でのフォローも含めて検査などの対応を行うこともあります。
重症度(HDSS)
多汗症は「汗の量」だけでなく、「生活への支障」をもとにHDSS(Hyperhidrosis Disease Severity Scale)などを用いて重症度を評価する基準があります。
| HDSS | 目安 |
|---|---|
| 1 | 汗は気にならず、生活への支障はない |
| 2 | 汗が気になるが、生活への支障は軽い |
| 3 | 汗で生活への支障が明らかにある |
| 4 | 汗で生活への支障が非常に大きい |
※症状の部位・皮膚状態(かぶれ/湿疹の有無)・既往歴をふまえて治療法を選択します。
部位別の治療について
脇汗(腋窩多汗症)
- 外用抗コリン薬(エクロックゲル、ラピフォートワイプ)
- 塩化アルミニウム(保険外)
- 症状が強い場合は、他の治療(注射治療等)も含めて検討
手汗(手掌多汗症)
- 外用抗コリン薬(アポハイドローション)
- 塩化アルミニウム(保険外)
- 内服(抗コリン薬)を検討することがあります
足汗(足底多汗症)
- 塩化アルミニウム(保険外)+スキンケア
- 靴・靴下・インソールなど環境調整
- 水虫(足白癬)など合併症がある場合は同時治療
※治療の選択肢は、皮膚の状態(湿疹・かぶれ)や生活スタイル(仕事、部活、妊娠授乳など)で変わります。
主な治療薬(外用・内服・制汗)
外用抗コリン薬(汗のスイッチを抑える)
汗を出す神経の働きを局所で抑えて、発汗量を減らす外用薬です。 部位に合った薬を選び、刺激や乾燥が出ないよう使用方法を調整します。
| 薬剤 | 成分名 | 主な対象 | ポイント |
|---|---|---|---|
| エクロックゲル | ソフピロニウム臭化物 | 腋窩(脇) | 毎日の塗布で発汗を抑える。目や口に触れないよう注意。 |
| ラピフォートワイプ | グリコピロニウムトシル酸塩水和物 | 腋窩(脇) | 拭き取りタイプ。使用後は手洗いを推奨(眼への付着に注意)。 |
| アポハイドローション | オキシブチニン塩酸塩 | 手掌(手汗) | 手汗に対する外用薬。塗布量・頻度は皮膚状態に合わせて調整。 |
塩化アルミニウム(保険外)(制汗剤)
脇・手・足などで用いられる代表的な制汗治療です。皮膚刺激(ヒリヒリ、かぶれ)が出ることがあるため、濃度や使用頻度を調整し、保湿や外用薬を併用する場合があります。
内服(抗コリン薬)
外用や制汗で十分な効果が得られない場合、症状や生活背景により内服を検討します。プロバンサイン(プロパンテリン臭化物)等の内服が選択肢として扱われています。口の渇き、便秘、目のかすみ、排尿のしづらさなどが出ることがあるため、体質や併用薬を確認して慎重に調整します。
漢方薬
「緊張で汗が増える」「冷えやのぼせを伴う」「胃腸の弱さがある」など、体質や伴う症状がある場合は、 漢方薬を併用することがあります。多汗症そのものへの効果は個人差が大きいため、 目的(緊張の緩和・自律神経症状・体質の調整)を明確にして処方を検討します。
※妊娠中・授乳中、緑内障や前立腺肥大、排尿障害がある方などは、薬剤選択に注意が必要です。受診時にご相談ください。
日常生活でできる対策(治療効果を高めるコツ)
- 通気性のよい衣類(吸湿速乾素材)を選ぶ
- 脇汗はインナーや汗取りパッドの併用
- 足汗は靴のローテーション、乾燥、インソール交換、5本指ソックスなど
- 皮膚が荒れていると外用薬がしみやすいため、保湿・湿疹治療も同時に行う
- 睡眠改善・カフェイン調整なども検討
よくある質問
- Q. 市販の制汗剤で良くならないのですが、受診の目安は?
- A. 生活の支障(服が濡れる、仕事に影響、対人ストレスなど)がある場合は治療の対象になります。HDSS 3〜4相当は受診をご検討ください。
- Q. 外用薬はどれくらいで効果が出ますか?
- A. 数日〜数週間で変化を感じる方がいます。部位・重症度・皮膚状態で差があるため、診察で使い方を調整します。
- Q. かぶれや刺激が心配です。
- A. 外用薬の使用時に刺激が出ることがあります。濃度・頻度の調整、保湿や湿疹治療を組み合わせて対応します。
- Q. 手汗・足汗で皮膚トラブルもあります。
- A. 汗による湿疹や、足白癬(いわゆる水虫)などを合併していることがあります。必要に応じて皮膚の治療も同時に行います。
